医療法人 松田会

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首のイボ
(アクロコルドン、スキンタッグ、軟性線維腫)について 

 加齢に伴って主に首、時に脇の下や乳房下に小さいイボができ、それが次第に増えてくることがあります。その多くは、アクロコルドン、スキンタッグ、軟性線維腫と呼ばれる良性皮膚腫瘍です。良性腫瘍ですので放置していて全く問題ありませんが、襟の間から見え整容的に気になったり、衣服やネックレスが引っかかったりと、ないに越したことはありません。通常、皮膚科でははさみで切り取ったり、液体窒素で凍らせたりして治療します。しかし、はさみで切り取る方法はイボの形により切り取れるものと切り取れないものがあり、また液体窒素による治療は、数回の治療が必要であったり、シミがしばらく残ったりします。
 松田病院皮膚科では、このイボに対して新しい治療法を開発いたしました。表面麻酔を行ない、痛みを伴わず取ることができ、治療に必要な時間も30個程度まででしたら10分程度で終わります。治療後はイボのあった部位に一致して浅い創ができますが、2、3日で治ります。その後、しばらく赤みやシミが残りますが、赤みは2週間程度で、シミは3ヶ月程度で目立たなくなります。代表的な症例の治療前後の写真を2枚提示します。詳しくは首イボ除去治療をご覧ください。

顔のイボ

 首と同様に顔にもイボが多発します。ただ首のイボがほぼ100%アクロコルドンないしは軟性線維腫と呼ばれるイボであったのに対し、顔にはいくつかの異なったイボができます。簡単に病名だけを列挙すると
1)稗粒腫 (軟毛由来、汗管由来)
2)汗管腫、
3)エックリン汗嚢腫
4)アポクリン汗嚢腫
5)脂腺嚢腫
6)脂腺過形成
7)脂漏性角化症
8)扁平疣贅
などです。
 これらをどのように鑑別するかは必ずしも容易ではなく、時に2ないし3ミリ程度の小病変を1つくり抜く病理組織診断が必要になります。診断が異なると治療法も異なるため、正確な診断は不可欠です。松田病院では正確な診断の元に適切な治療法を選択しています。ただ全てが治療可能なわけではなく、形成外科にレーザーなどによる治療をお願いすることがあります。

多汗症

 多汗症には全身の多汗症と局所多汗症があります。いわゆる汗かきと呼ばれる全身性多汗症に関しては残念ながらよい治療法はありませんが、局所多汗症に関しては有効な薬が開発されました。脇の下の多汗症には2つの剤形の異なった薬剤が数年前から使用できるようになりました。2023年の6月からは手掌多汗症の治療薬も発売になりました。脇の下の多汗症は既に多くの患者さんがその有効性を実感しています。手掌多汗症は、これまでは病院内で作る塩化アルミニウム溶液やイオントフォレーシスなどで治療するしかなく、その効果も必ずしも患者さんに満足していただけるものではありませんでした。新薬の効果はこれから多くの患者さんに使っていただき、わかってくると思います。

局所麻酔薬

 皮膚科で小手術を行なう時にはキシロカインという局所麻酔薬を使います。ただこの麻酔薬がそのまま皮膚に注射すると強い痛みを生じます。その原因は、麻酔薬が中性の組織液と異なり酸性なためです。したがって、この痛みは麻酔薬を中性にしてあげれば著しく軽減されます。またどうしても注射薬なので皮膚に針が刺さる瞬間の痛みがあります。この痛みはあらかじめ麻酔クリームを塗っておけば、ほとんど気にならない程度になります。
 松田病院皮膚科では、傷が2cmを超えるような手術は全て形成外科の先生にお願いしていますが、皮膚生検、粉瘤処置、粉瘤くり抜き法、陥入爪の爪楔形切除、腫瘍のキュレット術などの際は、麻酔クリーム、中性キシロカインを使って麻酔時の痛みをほぼゼロにするように努めています。

生物学的製剤、JAK阻害薬の使用に関して

 近年、通常の外用療法などで十分な効果が得られない乾癬、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などに生物学的製剤やJAK阻害薬など分子標的薬が使用されるようになりました。これらの薬剤は、極めて高い効果を有し、副作用も通常はあまり重症なものはなく、多くの患者さんがこれまでに経験したことがない効果を実感します。
 松田病院皮膚科も、乾癬、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症に対する生物学的製剤承認施設になっており生物学的製剤(抗体医薬品)、JAK阻害薬などによる治療が大学病院を受診しなくても投与できるようになりました。しかし、これらの薬剤はどれも高額で患者さんの経済的負担は極めて大きく、それが理由で投与を断念される患者さんも少なからずいらっしゃいます。
 そこで松田病院皮膚科の分子標的薬に対する考え方を紹介します。アトピー性皮膚炎に関しては、初診時に重症と思われた症例の多くが、正しい軟膏治療とスキンケアーを実施することで寛解導入から寛解維持、さらにはほとんど軟膏を塗らなくてよい状態(治癒)に導くことができます。しかし中には軟膏治療のみでは寛解導入ができず、やむなく分子標的薬を使用することがあります。しかしその際もこれらの治療からの離脱を目指しています。
 一方、中等症から重症の乾癬、乾癬性関節炎、ステロイドパルス療法が無効な重症円形脱毛症に関しては残念ながら現時点では分子標的薬に代わる治療法はありません。松田病院皮膚科では、可能な限り患者さんの経済的負担が少なくなるように投与薬、投与方法を検討しますが、どうしても年収に応じた高額療養費制度で定められた自己負担額をお支払いいただく必要があります。

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