医療法人 松田会

Menu
松田会トップ

皮膚科アンチエージングプログラム

トレチノインとハイドロキノンの作用

 残念ながら人の皮膚は老化します。ただその老化の原因の約90%は紫外線による影響(光老化)で、単なる加齢による避けられない変化ではないと言われています。皮膚は表皮、真皮、脂肪組織の三層からなり、皮膚の老化、しみ、小じわなどの変化は表皮真皮の変化が主体です。今回松田病院皮膚科アンチエージングプログラムで使用するトレチノイン酸(オールトランスレチノイン酸)はレチノイドというビタミンAの誘導体の一種で表皮、真皮に働いて次の作用を示します。

1.  表皮細胞のターンオーバーを促進します。加齢とともに遅くなる表皮細胞のターンオーバーを早送りすることで、若い肌のように古くなった細胞を新しい細胞と速やかに置き換えます。

2.  真皮のコラーゲン産生を促進します。老化した張りのない皮膚の原因の1つは真皮のコラーゲンの減少です。トレチノインはコラーゲン産生を促進する作用があります。

 トレチノインには、それ以外にメラニン色素の産生抑制や真皮ヒアルロン酸合成促進など多くの作用がありますが、主にこの2つの作用で光老化した皮膚を若返らせてくれます。この作用は、通販や化粧品店で売られている化粧品に比べて強力で、これまでに多くの化学的研究により確かめられています。具体的には、加齢に伴う皮膚のしみや小じわを目立たなくする作用があります。
 ただ作用が強力なだけに医師の管理指導の元に注意して使用する必要があります。ヒリヒリ感や赤くなるなどの皮膚の刺激症状はほぼ必ずおこります。またこの刺激症状の出方には個人差があり、使用する人それぞれに応じてトレチノインの濃度、使用量、使用回数を微調整していく必要があります。
 一方、今回用いるもう一つの薬、ハイドロキノンは主にメラニン合成酵素であるチロジナーゼと言う酵素の作用を抑えることでしみの原因であるメラニン色素の量を減らします。この作用も多くの研究により確かめられています。ただハイドロキノンもトレチノイン同様に、痒みやヒリヒリ感、赤みなどの皮膚刺激症状をおこすことがあり、やはり医師の指導の元に使うのが好ましい化粧品です。
 松田病院皮膚科では、これらを用いて皮膚のアンチエージングに取り組みます。その際、刺激症状をより少なくし、なるべく日常生活に支障をきたさないように時間をかけて治療していきたいと思っています。トレチノイン(レチノイン酸)は米国ではしわ・にきびの治療医薬品として、政府機関であるFDAに認可されており、非常に多くの患者さんに皮膚の若返り薬として使用されています。松田病院では米国の製品に改良を加え皮膚刺激症状の軽減されたCDトレチノインを使用しています。

トレチノイン・ハイドロキノン併用療法の流れ

1.  現在お使いになっているクレンジングや洗顔料でやさしく洗顔します。手で洗って下さい。ごしごしこすらないようにしましょう。

2.  こすらずに叩くようにふきとります。

3.  洗顔後、かならず皮膚を乾燥させます。10分程度。濡れている皮膚に塗ると刺激症状が強くでることがあります。トレチノインを適量とりそれを薄く顔全体に塗布します。グリンピースほどの量で顔全体を塗るという感覚です。その際、目の中、鼻の穴、口の中に入らないように注意してください。そのため、目、鼻の穴、口から外側に向かってクリームを塗るようにして下さい。

4.  トレチノインはお風呂上がりに1日1回塗布します。ちょっと赤くなってわずかに皮膚がポロポロと剥げるくらいなら、そのまま継続してください。赤みや皮膚の刺激感が強い場合は塗布回数を1日1回から2日に1回に減らします。症状が治まれば元に戻します。

5.  トレチノインが皮膚に浸透したら(2-3分で乾きます)、次にハイドロキノンを気になるシミの部分にそれよりも広めに塗ります。塗る量は、あまり白くならない程度の厚さが適量です。

6.  皮膚が乾燥するまで待って保湿剤を塗ります。トレチノイン使用によりツッパリ感や乾燥のひどい時は、夜間油性クリームでカバーすると症状が軽減することがあります。

7.  ハイドロキノンは朝も使用して下さい(1日2回)。その際、洗顔直後は薬剤の浸透性がよくなり、効き過ぎることがあります。そのため、皮膚が乾燥してから使用してください。時間がない場合は、洗顔後化粧水、乳液等を塗った上からハイドロキノンクリームを重ね塗りしてください。

8.  2週間後に再来して頂き、皮膚トラブルの有無を判断し、トレチノイン使用量、使用回数を微調整します。

9.  4週間後に再来して頂き、皮膚の状況をみて次からの使用濃度、使用回数を決定します。

10.  それ以降は、1ないし2ヶ月ごとに再来してください。

11.  なおトレチノイン治療中は皮膚が炎症を起こしているので、紫外線防御を徹底的に行ってください。日に当たる機会のある場合は、朝起きてから3時間おきに日焼け止めクリームないしは日焼け止め作用のあるファンデーションを重ね塗りして下さい。できれば皮膚に優しい紫外線吸収剤不使用 (ノンケミカル)の日焼け止めクリームを使用してください。日常生活でしたらSPF25, PA3+以上で十分です。

安全性、副作用、注意点

 トレチノインやハイドロキノン塗布部位には刺激感、赤み、皮むけなどの肌荒れ症状が高率に出現します。これらの多くは、使用間隔を延ばしたり、保湿することで改善します。また現在使用している化粧品や洗浄剤で軽度な肌荒れを起こしているとトレチノインによる刺激症状が強くでる場合があります。その際は肌荒れの治療を最初に行います。
 妊娠中の方、授乳中の方、妊娠予定の方は外用できません。
 また有効性には個人差がありますので予めご了承下さい。
 なお、松田病院皮膚科アンチエージングプロジェクトでは、比較的低濃度のトレチノインを使って治療します。そのため、他のクリニックで行われている治療法より、シミ取り効果の発現は遅くなります。

プログラム料金(下記料金全て消費税を含みます)



 同意書
ページトップへ戻る