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膝・下肢

膝蓋骨脱臼

はじめに


 膝蓋骨脱臼の分類は整理されてきたが、未だに混乱がみられる。膝蓋骨脱臼はその病態により手術適応、手術法が異なるので正しい分類のもとで議論する必要がある。
1) 恒久性膝蓋骨脱臼:膝関節のどの角度においても膝蓋骨の関節面が大腿骨の関節面と接触せず、膝蓋骨が常に脱臼位にあるもの
2) 習慣性膝蓋骨脱臼:膝関節がある角度になると必ず脱臼するもの。通常は伸展位で正常な適合状態にあり、ある屈曲角度になると脱臼する。
3) 反復性膝蓋骨脱臼:通常は関節は適合状態にあるが、外傷(minor traumaのことも少なくない)などにより時々脱臼が起こるもの

脱臼素因


1) Abnormalities of the Patellofemoral Articulation
① 大腿骨の形態異常(Trochlear hypoplasia)
trochleaが浅いと膝蓋骨は骨性の制動が甘く脱臼し易くなる。MerchantのいうSulcus angleは平均140°だがこの角度が大きく、大腿骨外顆形成不全がみられることが多い
② 膝蓋骨の形態異常
lateral facetが大きく扁平な膝蓋骨が多い。WibergⅢ型が多い。また先天性の形成不全がみられることがある
③ 膝蓋大腿関節の適合性の異常
congruence angleで評価する
④ 膝蓋骨高位
Insall-Salvati法ではLT/LP比が1.20以上で膝蓋骨高位としている。

2) Abnormalities of the Supporting Structures
① 内側広筋の萎縮、斜走線維の付着部異常、内側膝蓋支帯の弛緩による内方への制動の低下
② 外側広筋、外側膝蓋支帯など膝蓋骨外側支持機構の過緊張による外方への牽引力の増加
③ 軟部組織のlaxity(general joint laxity)
3) Malalignment of the Extremity
①大腿骨頚部の前捻、大腿骨顆部の内旋、脛骨の外旋、膝蓋腱の外側付着(Q角に反映される。平均14°だが、脱臼群では大きい傾向にある)
②外反膝 

反復性膝蓋骨脱臼
 
・通常は脱臼しないが、スポーツや軽微な外傷で膝蓋骨が外側へ脱臼する。
・脱臼は自然に整復されることが多く、脱臼を繰り返す。
・脱臼をしていない膝の軽度屈曲位のX線軸射像では亜脱臼位を示すものが多い
・女性に圧倒的に多い
・年齢は小学校高学年から20歳代前半が大部分を占める
・脱臼しても自然に整復されることから脱臼位で受診することは少ない
・患者も膝蓋骨がはずれたと自覚することはなく、膝がガクっとなったとか、膝を捻挫して動けなくなったがしばらくしたら歩けた、と言うものが多い。

治療

 
・ 脱臼急性期を過ぎると、時々膝痛があるとか、膝がガクっとはずれそうになる、スポーツが怖いなどの訴えが残ることがある。膝蓋骨が亜脱臼位にあり、脱臼準備状態と考えてもよい。

1) 保存治療
・ 若年者で学校の試験や受験勉強で手術がすぐに出来ない人や、若い女性でスポーツも嫌いで手術を希望しない人もいる。年長者では反復性膝蓋骨脱臼で受診する患者が少ないことから、若年期を過ぎれば脱臼しなくなる傾向がある。
・ 装具療法を行う。(Patella braceなど)
・ 内側広筋に対する筋力強化 外側膝蓋支帯のストレッチなど

2)手術治療
① proximal realignment
a) lateral release(外側膝蓋支帯解離術)
b) medial reefing(内側膝蓋支帯縫縮術)
② distal realignment
③ 内側膝蓋大腿靭帯再建術
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