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院長のひとり言

食欲の秋を上手に乗り切りましょう!2023/9/20

 昔から「食欲の秋」と言われていますが、実際、夏が終わり涼しくなってくると 「食べたい」欲求が増して食べる量が増え、体重増加につながってしまう人が多いようです。
 なぜ「秋」に食欲が増すのでしょうか? 食欲に影響のある要因は様々あり、それぞれが複合的に絡んでいるので単純には言えませんが、これまで報告されている中から、ある程度根拠と裏付けのあるものをいくつか挙げてみましょう。

1)日照時間減少・照度低下との関係(セロトニン分泌低下)
 夏から秋になると、日照時間が減少して明るさが低下しますが、精神の安定化を保つ作用のある脳内の神経伝達物質で、食欲の調整にも深く関わっているセロトニンは、日光にあたった時間によって分泌量が調整されることがわかっています。つまり、日を浴びることが少ない秋には、夏に比べセロトニン分泌量は減少してしまうのです。
 日光にあたる以外に、セロトニン分泌量を増やす方法は、糖質、乳製品、肉類の摂取や睡眠をとること。秋になると食欲が増すのは、たくさん食べたり眠ったりすることで“幸せ物質”とも呼ばれるセロトニンを増やし、精神の安定を保とうとするからではないかと言われています。

図1に初夏から初秋にかけての東京の平均日照時間と日射量(面積当たりの日の光の強さ)を比較したものです(出典不祥)。

 9月~10月にかけて、日照時間・日射量ともにガクンと落ちています。確かに9月以降は暗くなる時間が早い!と感じますよね。
 気分良く食欲をコントロールするためには、室内に籠っていてはいけません。これからどんどん日が落ちるのが早くなりますが、食欲の調整のためにも晴れた日には外に出て、気分転換を心がけた方が良さそうです。

2)気温変化に対するからだの反応(気温の低下による基礎代謝の亢進)
 これまでも、よく言われているのが気温の低下による基礎代謝の変化です。気温が下がると、体温保持のためからだの熱産生が高まり、基礎代謝が上がることは良く知られています。過去の文献では、夏に低下した基礎代謝が秋から冬にかけて上昇することが示されています(図2)。
 基礎代謝が上がれば、それだけエネルギーを多く使ってしまうため、その分を補給しようとお腹がすくことも頷けます。しかしながら、近年ではエアコンなど空調設備の普及で、季節変化による基礎代謝への影響は、ほとんど考慮しなくても良いのではないかとも言われています。

3)その他の要因
 その他にも、「夏バテ気味で低下していた食欲が、涼しくなって回復する」「秋は美味しくなる旬の物が多いので、食べたくなるのは自然なこと」「食べ物が捕れなくなる冬に向けて秋のうちに食べて身体に蓄えておくという、生き物の自然の摂理」など、とにかく「食欲の秋」の要因となると、納得のいく説がたくさんあります。
 秋になり食欲がアップするのは、こうした様々な要因が影響しあい、相互作用しあって「食欲の秋」へとつながっているのだと思います。
 でも、秋は「食欲」だけの季節ではありません。「スポーツの秋」や「読書の秋」と捉える方もたくさんおられます。秋の旬の味覚に舌鼓を打つのも大事ですが、爽やかな気候の中でスポーツを楽しんだり、秋の夜長に物語の世界にひたるのも大きな楽しみです。
 皆さん、それぞれに(暑い夏が終わり、寒い冬が来る前の)束の間の爽やかな季節を、豊かで実り多い時間にして、過ごしていただければと思います。
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